あなたの奨学金はどっち?第一種・第二種の違いを知って賢く返済
奨学金を利用された方の多くは、これから始まる返済や、毎月の負担、そして無事に完済できるかどうかについて、様々な不安を抱えていることと思います。奨学金にはいくつかの種類があり、あなたがどの種類の奨学金を利用されたかによって、返済の仕組みや総額が変わってきます。
ご自身の奨学金の種類を正しく理解することは、今後の返済計画を立てる上でとても重要です。この記事では、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を中心に、主な種類である「第一種奨学金」と「第二種奨学金」の違いや、それぞれの特徴、そしてそれが返済にどのように影響するのかを分かりやすくご説明します。ご自身の奨学金の種類を確認し、安心して計画的に返済を進めるための一歩を踏み出しましょう。
奨学金の主な種類:第一種と第二種
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、大きく分けて「第一種奨学金」と「第二種奨学金」の2種類があります。これらは、それぞれ異なる特徴を持っており、特に「利息が付くか付かないか」という点で大きな違いがあります。
第一種奨学金(無利子)
第一種奨学金は、返還時に利息が付かない「無利子」の奨学金です。学業成績が優秀であり、かつ家計の基準を満たしている学生が申し込むことができます。
-
特徴:
- 利息が付きません。借りた金額=返済する金額(元金のみ)となります。
- 学力基準と家計基準の両方が比較的厳しく設定されています。
- 返済方式は「定額返還方式」のみです。
-
返済への影響:
- 総返済額は、借りた元金の合計額になります。
- 利息負担がないため、返済計画が立てやすく、精神的な負担も比較的軽いと言えます。
第二種奨学金(有利子)
第二種奨学金は、返還時に利息が付く「有利子」の奨学金です。学力基準は第一種奨学金ほど厳しくなく、家計基準も第一種より緩やかです。第一種奨学金に比べて、より多くの学生が利用できる可能性があります。
-
特徴:
- 返済時には、借りた元金に加えて利息を支払う必要があります。
- 利率は、貸与終了時に「利率固定方式」または「利率見直し方式」のどちらかを選択できます。
- 学力基準、家計基準ともに第一種奨学金より緩やかです。
- 返済方式は「定額返還方式」と「所得連動返還方式」のどちらかを選択できます(選択できる期間には制限があります)。
-
返済への影響:
- 総返済額は、借りた元金に加えて発生する利息の合計額になります。
- 利息の分だけ、総返済額は第一種奨学金よりも多くなります。
- 利率のタイプ(固定または変動)によって、返済期間中の月々の返済額や総返済額が変わる可能性があります。
- 繰り上げ返済を行うことで、将来支払う予定だった利息を減らす効果が期待できます。
第一種と第二種、ここが違う!比較表
| 項目 | 第一種奨学金(無利子) | 第二種奨学金(有利子) | | :----------- | :--------------------- | :--------------------- | | 利息 | 付かない | 付く | | 学力基準 | 比較的厳しい | 第一種より緩やか | | 家計基準 | 比較的厳しい | 第一種より緩やか | | 返済方式 | 定額返還方式のみ | 定額返還方式、所得連動返還方式 | | 総返済額 | 借りた元金のみ | 借りた元金 + 利息 |
奨学金の種類が返済計画にどう影響するか
奨学金の種類によって、返済計画の立て方や、着目すべきポイントが変わってきます。
無利子の第一種奨学金の場合
第一種奨学金は利息が付かないため、最もシンプルな返済です。借りた元金総額を、決められた期間で分割して返済していきます。
- 確認すべき点: 借りた総額、月々の返済額、返済期間。これらは「奨学金貸与証明書」や、返済開始前に届く「返還確認票」で確認できます。
- 繰り上げ返済: 繰り上げ返済をしても、総返済額(元金)自体は変わりませんが、返済期間を短縮することができます。これにより、完済時期を早め、精神的な負担を軽減することに繋がります。
有利子の第二種奨学金の場合
第二種奨学金は利息が付くため、第一種奨学金よりも総返済額が多くなります。利率のタイプや、繰り上げ返済の活用が重要なポイントになります。
- 確認すべき点: 借りた総額、月々の返済額、返済期間に加え、利率のタイプ(固定または変動)と現在の利率を把握することが重要です。利率は日本学生支援機構のウェブサイトなどで確認できます。
- 繰り上げ返済: 第二種奨学金の場合、繰り上げ返済は返済期間を短縮するだけでなく、将来支払うはずだった利息を軽減する効果があります。特に金利が高い場合や、早期にまとまった金額を繰り上げ返済できる場合は、総返済額を減らす上で非常に有効な手段となります。例えば、100万円を年利3%で借りた場合、毎月〇万円返済すると利息が△万円発生しますが、早期に□万円繰り上げ返済することで、利息負担を△万円軽減できる、といった具体的なシミュレーションを行うと、繰り上げ返済のメリットを実感しやすいでしょう。(※具体的な金額は個別の条件により異なるため、ここでは一般的な効果の説明に留めます)
また、第二種奨学金で選択可能な「所得連動返還方式」は、その年の所得に応じて返済月額が決まる方式です。収入が少ない時期は負担が抑えられますが、返済期間が長期化し、結果的に利息負担が増える可能性があります。自身の将来の収入見込みなどを考慮して、返済方式を検討することが重要です。
自分の奨学金の種類を確認するには
ご自身が第一種・第二種奨学金のどちらを利用したかは、以下の方法で確認できます。
- 奨学金貸与証明書: 奨学金の振込時に受け取っている「奨学金貸与証明書」に、第一種または第二種と明記されています。
- 返還確認票: 返済開始の約3ヶ月前に日本学生支援機構から送付される「返還確認票」にも記載されています。
- スカラネット・パーソナル: 日本学生支援機構のウェブサイトから利用できる個人向けのインターネットサービス「スカラネット・パーソナル」に登録することで、自身の奨学金に関する詳細情報(種類、貸与総額、返済状況など)を確認できます。
これらの方法でご自身の奨学金の種類を確認し、特徴を理解することから返済計画は始まります。
まとめ
奨学金には、無利子の第一種と有利子の第二種があり、それぞれ返済の仕組みや総額に違いがあります。ご自身の奨学金の種類を把握することは、今後の返済額や総額の見込みを立て、無理のない返済計画を実行するための第一歩です。
特に第二種奨学金を利用された方は、利息の仕組みを理解し、必要に応じて繰り上げ返済を検討することで、総返済額を効果的に減らすことが可能です。
まずはご自身の奨学金の種類を上記のいずれかの方法で確認してみてください。ご自身の状況に合った返済計画を立て、安心して完済を目指しましょう。