月々の返済だけ見ていませんか？奨学金総額と完済までの期間を知る重要性
奨学金返済、月々の金額だけ見ていませんか？
奨学金の返済が始まると、多くの方が毎月の引き落とし額を意識することになります。もちろん、月々の返済額を把握することは家計管理の基本として非常に重要です。しかし、奨学金返済を計画的に進め、完済という「ゴール」を目指すためには、毎月の金額だけでなく、「返済総額」と「完済までの期間」を正確に把握することが、それ以上に重要となります。
これらの全体像が見えないと、終わりの見えないマラソンを走っているような感覚になり、返済に対して漠然とした不安を感じやすくなってしまいます。この記事では、自分の奨学金返済の総額と期間を確認する方法、そしてなぜそれらを知ることが重要なのかについて詳しく解説します。
なぜ奨学金返済の総額と期間を知ることが重要なのでしょうか？
奨学金の返済総額と完済までの期間を把握することは、奨学金と上手に付き合い、計画的に返済を進めるために不可欠です。主に以下の3つの理由が挙げられます。
-
返済の「ゴール」が見えるようになる 返済総額と期間を知ることで、「あと〇〇万円、あと〇〇年返せば終わる」という具体的なゴールが見えます。これにより、漠然とした不安が軽減され、返済に対するモチベーションを維持しやすくなります。
-
長期的な家計計画が立てやすくなる 完済までの期間が明確になることで、その期間にわたる家計への影響を予測できます。マイホームの購入、結婚、出産、教育資金の準備など、将来のライフイベントに向けた貯蓄計画や資金計画を、奨学金返済と両立させながら具体的に立てることが可能になります。
-
繰り上げ返済などの効果を実感しやすい 返済総額と期間を知っていると、繰り上げ返済を行った際に「〇〇円繰り上げ返済したら、利息が〇〇円減って、完済が〇〇ヶ月早くなる」という効果を具体的に計算し、実感することができます。これにより、繰り上げ返済への意欲が高まり、早期完済に向けた具体的な行動につながりやすくなります。（有利子奨学金の場合、繰り上げ返済は利息の軽減に特に有効です。）
自分の奨学金総額と期間を確認する方法
自分の奨学金返済の総額や現在の残高、そして予定されている完済までの期間を確認するには、いくつかの方法があります。最も一般的で正確なのは、日本学生支援機構（JASSO）が提供する以下の方法を利用することです。
-
JASSOから送付される書類を確認する 奨学金の貸与が終了した後、JASSOから「奨学金等返還証明書」や「奨学金返還確認票」などの書類が送付されます。これらの書類には、あなたの奨学金の貸与総額、現在の返還元金残高、月々の返還額、そして返還完了予定年月などが記載されています。これらの書類は返済計画を立てる上で非常に重要な情報源となりますので、大切に保管しておいてください。
-
スカラネット・パーソナルを利用する スカラネット・パーソナルは、JASSOが提供する奨学金返還に関するインターネットサービスです。ご自身の奨学金に関する情報をオンラインでいつでも確認できます。
-
確認できる情報例:
- 現在の返還元金残高
- 月々の返還額
- 最終返還期日（完済予定年月）
- 返還期間
- これまでの返還状況
- 繰り上げ返済などの手続き
-
利用方法:
- スカラネット・パーソナルのウェブサイトにアクセスします。
- ログインIDとパスワードを入力してログインします。 （まだ登録していない場合は、新規登録が必要です。登録にはあなたの氏名、生年月日、貸与・返還に関する情報などが必要になります。）
- ログイン後、メニューから「あなたの情報」や「返還情報」といった項目を選択すると、返還に関する詳細な情報を確認できます。
スカラネット・パーソナルは、返還状況をリアルタイムで把握できるだけでなく、住所変更手続きや繰り上げ返済の申込みなどもオンラインで行える便利なサービスです。まだ登録されていない場合は、この機会に登録することをおすすめします。
-
確認した情報を返済計画に活かす
自分の奨学金総額と完済までの期間を把握したら、次にその情報を返済計画にどう活かすかを考えましょう。
- 無理のない返済計画かを確認する: 月々の返済額が、あなたの現在の収入や支出に対して無理のない範囲かを確認します。もし負担が大きいと感じる場合は、後述するような返済に関する支援制度の利用を検討することも必要かもしれません。
- 家計管理に反映させる: 奨学金返済額を毎月の固定費として家計簿に組み込みます。返済期間が明確なので、その期間は毎月必ずこの金額が必要であることを意識した家計管理が可能になります。
- 早期完済の目標を設定する: もし可能であれば、繰り上げ返済によって返済期間を短縮したり、総返済額（特に利息）を減らしたりすることを検討します。「あと〇年早く返済を終えたい」といった具体的な目標設定が、日々の節約や貯蓄へのモチベーションにつながります。
確認・計画の際の注意点
- スカラネット・パーソナルの登録・ログイン: 登録には時間がかかる場合があります。また、ログインIDやパスワードを忘れた場合は再設定が必要になります。早めに手続きを済ませておくことをおすすめします。
- 書類の保管: JASSＯから送付される書類は、返済完了まで大切に保管してください。紛失した場合は再発行の手続きが必要になる場合があります。
- 有利子奨学金の金利変動: 第二種奨学金などの有利子奨学金で変動金利を選択している場合、将来的に金利が変動する可能性があります。これにより、総返済額や返済期間が当初の予定から変わる可能性があることを理解しておく必要があります。
まとめ
奨学金返済は長期にわたる取り組みです。月々の返済額だけでなく、返済総額と完済までの期間を正確に把握することは、奨学金との付き合い方において非常に重要です。これらの全体像が見えることで、返済に対する不安が軽減され、計画的な家計管理や早期完済に向けた具体的な行動につながります。
まずは、JASSOからの送付書類を確認するか、スカラネット・パーソナルに登録・ログインして、ご自身の奨学金返済の全体像を把握することから始めてみてください。それが、無理なく、そして前向きに奨学金完済を目指すための第一歩となります。