奨学金返済中の住所変更・氏名変更：忘れるとどうなる？手続き方法と注意点
はじめに
奨学金の返済は、卒業後、長期にわたって続いていきます。その間に、引っ越しによる住所変更、結婚や改姓による氏名変更など、ご自身の状況が変わることは少なくありません。
返済義務期間中にこのような変更があった場合、日本学生支援機構（JASSO）に登録している情報を正しく更新することは、奨学金返済を滞りなく行う上で非常に重要となります。もし手続きを忘れてしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性も考えられます。
この章では、奨学金返済中に住所や氏名などの登録情報に変更があった場合に必要な手続きについて、なぜ変更が必要なのか、どのような情報変更が必要なのか、具体的な手続き方法、そして注意点について詳しくご説明します。返済中の住所変更や氏名変更に不安を感じている方は、ぜひ最後までご確認ください。
奨学金返済中に登録情報を変更しないとどうなる？
住所や氏名などの登録情報を最新の状態にしておかないと、以下のようなリスクや不利益が生じる可能性があります。
- 重要なお知らせが届かない: 返済額の変更通知、繰り上げ返済に関する情報、延滞に関する督促状など、JASSOからの重要書類や連絡が届かなくなります。
- 延滞とみなされるリスク: 連絡が取れない状態が続くと、JASSOからの連絡に応じられないと判断され、奨学金返済が延滞しているとみなされてしまう可能性があります。
- 個人信用情報機関への登録: 延滞が続くと、個人信用情報機関に情報が登録され、将来、クレジットカードの作成やローン（住宅ローン、自動車ローンなど）の利用に影響が出る可能性があります。
- 法的な手続きにつながる可能性: 長期間連絡が取れず、返済も滞っている場合、最終的には法的な手続きが取られる可能性もゼロではありません。
これらのリスクを避けるためにも、住所や氏名などに変更があった際は、速やかにJASSOへの登録情報変更の手続きを行うことが非常に重要です。
変更が必要になる主な登録情報
JASSOに登録している情報のうち、主に以下のような情報に変更があった場合に手続きが必要です。
- 住所: 引っ越しなどで居住地が変わった場合。JASSOからの郵便物送付先となります。
- 氏名: 結婚、改姓、改名などで氏名が変わった場合。
- 電話番号: 連絡が取れる電話番号が変わった場合。
- 勤務先: 転職などで勤務先が変わった場合。（※第一種奨学金の所得連動返還方式を選択している方など、状況により手続きが必要な場合があります）
- 連帯保証人・保証人の情報: ご自身の状況ではなく、連帯保証人や保証人の住所、氏名、勤務先などに変更があった場合も、ご自身を通じて手続きを行う必要があります。
ご自身や連帯保証人・保証人の情報に変更があった場合は、「変更届」または「異動願」の提出が必要となります。
奨学金の登録情報変更手続きの方法
JASSOへの登録情報変更手続きは、主にインターネットを利用した「スカラネット・パーソナル」を通じて行う方法と、書類を郵送する方法があります。
1. スカラネット・パーソナルでの手続き（推奨）
スカラネット・パーソナルは、奨学金の貸与・返還に関する情報をインターネット上で確認・手続きできるシステムです。多くの情報変更は、このスカラネット・パーソナルから手続きを行うことが推奨されています。
- スカラネット・パーソナルへログイン: JASSOのウェブサイトからスカラネット・パーソナルにアクセスし、ログインします。ログインには、奨学生番号やパスワードが必要です。
- 「変更届（異動願）」メニューを選択: ログイン後、画面上のメニューから「変更届（異動願）」に関する項目を選択します。
- 変更したい情報を入力: 住所変更、氏名変更など、変更したい情報の種類を選択し、新しい情報を入力します。入力内容に誤りがないか十分に確認します。
- 提出: 入力内容を確認し、提出します。
スカラネット・パーソナルで手続きが可能な情報は多岐にわたります。住所、氏名、電話番号などの基本的な情報のほか、引き落とし口座情報の変更などもこちらから行える場合があります。手続きが完了すると、完了通知が登録メールアドレスに届くなどして確認できます。
2. 書類を郵送して手続きする
インターネット環境がない場合や、スカラネット・パーソナルで手続きできない特定の変更については、必要な書類をダウンロードして郵送で提出する方法もあります。
- 必要書類のダウンロード: JASSOのウェブサイトから、変更したい内容に応じた「変更届」や「異動願」の用紙をダウンロードします。ダウンロードできない場合は、JASSOに連絡して取り寄せることも可能です。
- 必要事項の記入: 用紙に必要事項を記入します。氏名変更の場合は戸籍謄本など、変更内容に応じた証明書類の添付が必要な場合があります。
- 書類の郵送: 記入済みの書類と必要書類を同封し、JASSOが指定する送付先に郵送します。
郵送での手続きは、書類の取り寄せや郵送に時間がかかるため、スカラネット・パーソナルでの手続きよりも時間を要することが一般的です。
手続きを行う上での注意点
登録情報の変更手続きを行う際には、以下の点に注意してください。
- 変更事由が発生したら速やかに手続きを行う: 引っ越しや結婚など、変更事由が発生したら、できるだけ早く手続きを行うことが重要です。特に住所変更は、JASSOからの重要書類の送付先となるため、転居後すぐに手続きすることをおすすめします。
- 正確な情報を入力・記入する: 入力・記入内容に誤りがあると、手続きが滞ったり、再度手続きが必要になったりする可能性があります。氏名や住所は、住民票や戸籍のとおりに正確に記入してください。
- 必要書類を準備する: 氏名変更など、内容によっては戸籍謄本などの公的な証明書類の提出が必要となります。事前にJASSOのウェブサイトで確認し、必要な書類を準備しておきましょう。
- 連帯保証人・保証人の情報変更にも対応: ご自身の情報だけでなく、連帯保証人や保証人の情報に変更があった場合も、ご自身がJASSOに届け出る必要があります。保証人の方に情報変更がないか、定期的に確認することをおすすめします。
- 手続き方法が不明な場合は問い合わせる: どのような手続きが必要か分からない場合や、スカラネット・パーソナルの利用が難しい場合は、JASSOの奨学金相談センターに問い合わせて確認してください。
まとめ
奨学金返済中に住所や氏名などの登録情報に変更があった場合、JASSOへの正確な情報更新は、返済を円滑に進めるために不可欠な手続きです。手続きを怠ると、JASSOからの重要な連絡が届かず、結果として延滞につながるなどのリスクを伴う可能性があります。
多くの情報変更は、インターネット上のスカラネット・パーソナルから簡単に行うことができます。手続き方法が不明な場合や、特定の変更については書類での手続きが必要な場合もありますので、JASSOの公式サイトを確認するか、奨学金相談センターに問い合わせるようにしてください。
変更事由が発生したら速やかに手続きを行うことを心がけ、常に最新の情報をJASSOに登録しておくことで、安心して奨学金返済を進めていくことができます。ご自身の返済状況を定期的に確認し、必要な手続きを忘れずに行ってください。