奨学金返済のモチベーションが続かない?完済という目標を達成するためのヒント
奨学金の返済は、卒業して社会人になった多くの方にとって、毎月の固定費として長く付き合っていくものです。特に、返済期間が長いと感じたり、金額が大きいと感じたりすると、「本当に終わるのだろうか」「いつになったら楽になるのだろう」と、漠然とした不安やモチベーションの低下を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この奨学金返済を、単なる「義務」として捉えるのではなく、「完済」という具体的な「目標」として設定し、計画的に進めることで、日々の返済に対する向き合い方が変わってきます。この記事では、奨学金返済のモチベーションを維持し、完済という目標を達成するための考え方や具体的なヒントをご紹介します。
なぜ奨学金返済のモチベーションは下がりやすいのか
奨学金返済のモチベーションが下がりやすいのには、いくつか理由が考えられます。
- 返済期間の長さ: 数年〜10年以上続くことが一般的で、終わりが見えにくいと感じやすいです。
- 返済額の大きさ: 総額で見ると大きな金額になり、毎月の返済額も家計に負担を与える場合があります。
- 返済の実感の薄さ: ローンのように形として残るものではないため、返済している実感や成果を感じにくいことがあります。
- 他の支出との両立: 家賃、食費、趣味、交際費など、社会人としての様々な支出と並行して返済する必要があり、優先順位やバランスを取るのが難しい場合があります。
- 将来への不安: 結婚、出産、住宅購入など、将来のライフイベントに影響するのではないかという不安が返済への意欲を削ぐこともあります。
このような状況は決して特別なことではなく、多くの方が経験することです。大切なのは、こうした気持ちとうまく向き合いながら、返済を計画的に進めていく方法を知ることです。
「完済」を具体的な目標として設定する
奨学金返済を前向きに進めるためには、「完済」というゴールを具体的にイメージし、そこへ向かうための道筋を描くことが有効です。単に毎月引き落とされるのを待つのではなく、自ら積極的に完済を目指すという意識を持つことが重要です。
目標設定には、以下のステップが考えられます。
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現在の返済状況を正確に把握する:
- 現在の借入残高
- 毎月の返済額
- 現在の返済方式(定額返還方式か、所得連動返還方式か)
- 現在の完済予定年月 これらの情報は、日本学生支援機構(JASSO)のスカラネット・パーソナルで確認できます。まだ登録していない場合は、まずは登録することをおすすめします。
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「いつまでに完済したいか」の目標年月を設定する:
- 現在の完済予定年月よりも早く完済したい場合、具体的な目標年月を決めます。
- 例えば、「〇年後の誕生日までに完済する」「マイホーム購入を検討し始める△歳までに完済する」など、ご自身のライフプランと合わせて設定すると、より現実的でモチベーションにつながりやすくなります。
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目標達成のための具体的な返済計画を立てる:
- 設定した目標年月までに完済するために、毎月の返済額をいくら増やせるか、ボーナス時にいくら繰り上げ返済するかなどを検討します。
- JASSOのウェブサイトにある「奨学金返還シミュレーション」などを活用すると、毎月の返済額や繰り上げ返済額を変更した場合に、完済年月がどのくらい早まるか、利息がどれくらい軽減されるかなどを具体的に試算できます。これにより、目標達成のために必要な金額や期間が明確になります。
モチベーションを維持するためのヒント
目標を設定したら、次はその目標に向かって着実に進み続けるための工夫が必要です。ここでは、日々のモチベーションを維持するための具体的なヒントをいくつかご紹介します。
ヒント1:返済状況を「見える化」する
返済の進捗を視覚的に確認できるようにすることで、モチ済みの金額や残り期間が明確になり、達成感や継続する意欲につながります。
- スカラネット・パーソナルを定期的に確認する: ログインして、返済残高や返済回数を確認する習慣をつけましょう。
- 簡単なグラフや表を作成する: スマートフォンアプリやスプレッドシートなどを利用して、返済総額に占める返済済み金額の割合をグラフにしたり、毎月の返済額を記録したりします。「あと〇円で総額の10%返済できる」「返済回数が100回を切った」など、具体的な数字の節目を意識できます。
ヒント2:小さな成功体験を積み重ねる
大きな目標達成のためには、小さな一歩を確実に踏み出すことが重要です。
- 毎月の返済を確実にこなす: まずは基本の返済を滞りなく行うことが大前提です。口座の残高を常に意識し、引き落としが確実に実行されるように管理します。
- 少額でも繰り上げ返済に挑戦する: ボーナス時だけでなく、家計に少し余裕ができた月に数千円でも繰り上げ返済をしてみましょう。たとえ少額でも、返済回数が減ったり、完済時期が早まったりする効果は確実にあります。この小さな成功体験が、次のモチベーションにつながります。
ヒント3:「完済後」を具体的にイメージする
完済した後の自由な状態を具体的に想像することで、現在の返済努力の意義を感じられます。
- 完済したら、毎月の返済額分を旅行資金に充てる、趣味に使う、貯蓄や投資に回すなど、具体的に「何をしたいか」「どうなりたいか」をリストアップしてみましょう。
- スマートフォンやパソコンの待ち受け画面に、「完済まであと〇日」といったメッセージや、完済後にやりたいことの写真を設定するなど、常に意識できる場所に置くのも効果的です。
ヒント4:家計管理と連動させる
奨学金返済は家計の一部です。日々の家計管理と結びつけることで、返済を加速させるヒントが見つかります。
- 毎月の収入、固定費(家賃、通信費など)、変動費(食費、交際費など)を把握し、無駄な支出がないか見直します。
- 削減できた金額を「奨学金返済用」として意識的に確保し、繰り上げ返済に充てる計画を立てます。節約の成果が返済加速という具体的な形になることを実感できれば、家計管理と返済の両方のモチベーションにつながります。
ヒント5:困難な状況になった場合の制度を知っておく
返済期間中には、予期せぬ出来事(病気、リストラ、収入減など)で返済が難しくなる可能性もゼロではありません。こうした「もしも」の時に利用できる公的な支援制度があることを知っておくだけでも、漠然とした不安が軽減され、安心して返済に取り組むことができます。
- 減額返還制度: 毎月の返済額を減らすことができる制度です。
- 返還期限猶予制度: 一定期間、返済を待ってもらうことができる制度です。
これらの制度の存在を知っておけば、万が一の時も一人で悩まず、適切な手続きを取ることで返済を継続できる道があることを理解できます。(各制度の詳細については、別の記事で詳しく解説しています。)
まとめ:一歩ずつ、着実に完済を目指す
奨学金返済は、時に長く険しい道のりのように感じられるかもしれません。しかし、「完済」という具体的な目標を設定し、現在の返済状況を正確に把握し、小さな工夫を積み重ねることで、モチベーションを維持しながら着実に進んでいくことが可能です。
今回ご紹介したヒントが、あなたの奨学金完済への道のりを前向きに進めるための一助となれば幸いです。焦らず、ご自身のペースで、一歩ずつ完済を目指していきましょう。