奨学金完済ガイド

もし奨学金返済が難しくなったら?知っておきたい支援制度と手続き

Tags: 奨学金, 返済困難, 減額返還制度, 返還期限猶予制度, JASSO

奨学金返済、「難しいな」と感じたら

奨学金の返済は、卒業後に始まる新しい生活の一部ですが、時には収入が不安定になったり、予期せぬ病気や怪我に見舞われたりして、「返済が少し難しいかもしれない」と感じることがあるかもしれません。そうした不安を感じているのは、決してあなた一人ではありません。多くの人が、ライフステージの変化に伴い、返済について悩む時期を経験しています。

奨学金返済で大切なのは、問題を一人で抱え込まず、利用できる制度を知り、適切に対応することです。日本学生支援機構(JASSO)には、返済が困難になった場合に利用できるいくつかの支援制度が用意されています。これらの制度を理解しておくことで、いざという時に慌てず、落ち着いて対処することができます。

この記事では、奨学金の返済が難しくなった場合に知っておきたい主な支援制度と、それぞれの制度を利用するための手続きについて、分かりやすくご説明します。

返済が難しくなるのはどんな時?

奨学金の返済は、原則として卒業後、決められた期間にわたって毎月または半年ごとに一定額を返していくものです。しかし、次のような状況になると、返済の負担が大きくなることがあります。

このような状況になった時、「返済できないかもしれない」と放置してしまうと、延滞となり様々な問題が生じる可能性があります。そうなる前に、利用できる制度がないか確認することが重要です。

知っておきたい主な支援制度:減額返還制度と返還期限猶予制度

JASSOでは、奨学金の返済が困難になった場合に利用できる主な制度として、「減額返還制度」と「返還期限猶予制度」を提供しています。それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。

1. 減額返還制度

この制度は、月々の返還額を減らすことで、返済の負担を軽減するものです。当初の約定返還期間は延長されますが、返還総額(利息を含む)は変わりません。

2. 返還期限猶予制度

この制度は、一定期間、奨学金の返還を待ってもらう(一時停止する)ものです。

各制度の申請方法と注意点

減額返還制度、返還期限猶予制度ともに、制度を利用するためにはJASSOへの申請が必要です。

申請方法

  1. JASSOのウェブサイトで情報収集: まずはJASSOの公式ウェブサイトで、最新の制度内容、申請条件、必要書類などを確認してください。
  2. 必要書類の準備: 申請には、申請書の他に、現在の収入を証明する書類(所得証明書など)、病気や失業などの状況を証明する書類(診断書、離職票など)、マイナンバーに関する書類などが必要になります。理由によって必要な書類が異なりますので、事前にしっかりと確認してください。
  3. 申請手続き:
    • スカラネット・パーソナル: インターネット上の「スカラネット・パーソナル」から申請手続きを行うことができます。多くの場合、こちらからの申請がスムーズです。
    • 郵送: 必要書類を揃えて、JASSOに郵送することも可能です。
  4. 審査・承認: 申請内容に基づいてJASSOによる審査が行われます。承認されると、その旨の通知が届き、制度が適用されます。

申請時の注意点

返済が難しくなる前にできること

「返済が難しい」という状況になる前に、または制度を利用しながらでも、できることはいくつかあります。

延滞してしまったら?

もし返済期日までに返済ができず、延滞してしまった場合でも、そのまま放置することは避けてください。延滞が続くと、次のような影響が出る可能性があります。

延滞してしまった場合でも、まずはJASSOに連絡し、現在の状況を正直に伝え、今後の返還について相談することが最も重要です。延滞者向けの相談窓口も用意されています。

まとめ

奨学金の返済中に「難しいな」と感じたとしても、一人で悩む必要はありません。日本学生支援機構には、返済を続けることが困難になった人のための支援制度が用意されています。

特に減額返還制度返還期限猶予制度は、多くの人が利用を検討できる制度です。これらの制度を理解し、ご自身の状況に合わせて適切に利用することで、返済の負担を軽減し、延滞を防ぐことができます。

大切なのは、問題を早期に発見し、JASSOに相談するなどの具体的な行動を起こすことです。「返済が難しいかもしれない」と感じたら、まずはJASSOのウェブサイトを確認したり、相談窓口に連絡したりすることから始めてみてください。制度を賢く利用しながら、完済を目指しましょう。