奨学金返済「終わらないかも…」その不安を解消!具体的な対処法
奨学金返済、「終わらないかも…」と感じる不安に寄り添う
奨学金の返済は、毎月コツコツと続く長い道のりです。「あと何年返済が続くのだろう」「このままで本当に完済できるのか」と、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、社会人になりたてで収入が安定しない時期や、予期せぬ大きな出費があった時などは、そのように感じやすいかもしれません。
この不安を解消するためには、まずご自身の返済状況を正確に把握し、具体的な対策を講じることが大切です。この記事では、「終わらないかも…」という不安を感じたときに、どのようなステップで状況を改善していけば良いのか、具体的な対処法をご紹介します。
なぜ「終わらない」と感じてしまうのか?その原因を知る
奨学金返済に対して不安を感じる背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 返済総額や残高を正確に把握していない: 借りた金額やこれまでの返済額、そして残りいくら返済する必要があるのかが分からず、漠然とした金額に圧倒されている状態です。
- 完済までの具体的な期間を理解していない: あと何年、何ヶ月で返済が終わるのかが見えないと、ゴールが見えず長く感じてしまいます。
- 月々の返済額が家計の負担になっている: 毎月の返済で生活が圧迫され、「この負担が今後も続くのか」という重圧を感じています。
- 繰り上げ返済などの早期完済方法を知らない、または活用できていない: 月々の返済額通りに返済した場合のシミュレーションしか見ておらず、期間短縮の可能性を考慮できていません。
- 将来の収入や支出の見通しが立たない: 今後のライフイベント(結婚、出産、住宅購入など)に必要な資金と返済の両立ができるか不安を感じています。
これらの要因を一つずつ解消していくことが、不安を和らげ、返済を着実に進めるための第一歩となります。
ステップ1:まずはご自身の返済状況を正確に把握しましょう
不安を具体的に解消するには、まず「敵を知る」ことから始まります。ご自身の奨学金に関する以下の情報を正確に把握しましょう。
- 借り入れ総額: 学生時代に借りた合計金額です。
- 現在の返済残高: これまでにいくら返済し、あといくら残っているかです。
- 月々の返済額: 毎月引き落とされている金額です。
- 最終的な返済予定年月: このまま返済を続けた場合に、いつ完済予定なのかです。
- 返済方式: 定額返還方式なのか、所得連動返還方式なのかです。
- 金利(有利子の場合): 現在適用されている金利と、それが固定金利か変動金利かです。
これらの情報は、日本学生支援機構(JASSO)のスカラネット・パーソナルで確認することができます。インターネットを通じて24時間いつでも、ご自身の詳細な返済状況や返済計画、これまでの返済実績などを確認できる非常に便利なツールです。登録がお済みでない場合は、ぜひ登録して確認してみましょう。
ステップ2:現在の返済計画を見直す
現状を把握したら、次に現在の返済計画がどのようなものかを確認します。
- 完済までの期間: スカラネット・パーソナルで確認した最終返済予定年月を確認し、あと何年返済が続くのかを具体的に認識します。
- 繰り上げ返済の可能性: もし手元に余裕資金ができた場合、繰り上げ返済をすることで返済期間を短縮し、有利子奨学金の場合は利息の負担を軽減できる可能性があります。JASSOのサイトなどで繰り上げ返済のシミュレーションを行うことができますので、月にあと数千円、ボーナス時に数万円などを繰り上げ返済した場合に、どのくらい期間が短縮され、総返済額が減るのかを具体的な数字で見てみましょう。期間短縮が見えると、完済へのモチベーションにつながります。
ステップ3:家計を見直して返済原資を確保する
月々の返済負担が大きいと感じる場合や、繰り上げ返済のための原資を確保したい場合は、家計の見直しが有効です。
まずは、ご自身の収入と支出を正確に把握します。家計簿アプリなどを活用して、何にいくら使っているかを「見える化」することが大切です。次に、支出を「固定費」と「変動費」に分けて見直してみましょう。
- 固定費: 住居費、通信費、保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月決まった金額がかかる費用です。一度見直せば継続的な節約につながりやすいため、まずはここから見直すことをおすすめします。不要なサービスを解約する、より安いプランに変更するなどの検討が考えられます。
- 変動費: 食費、水道光熱費、交通費、交際費、趣味・娯楽費など、月によって金額が変わる費用です。日々の意識で節約できる部分です。無理のない範囲で、無駄遣いを減らす工夫をしてみましょう。「節約しすぎるとストレスが溜まる」という場合は、メリハリをつけることが大切です。
家計を見直すことで、無駄な支出を減らし、奨学金返済に充てる、あるいは将来のための貯蓄に回す原資を確保できる可能性があります。
ステップ4:利用できる支援制度を知る
病気や失業、災害など、予期せぬ事態で奨学金の返済が一時的に難しくなることもあります。そのような時のために、JASSOには様々な支援制度が用意されています。これらの制度を知っておくことは、万が一の際の大きな安心につながります。
主な制度としては、以下のものがあります。
- 減額返還制度: 災害、傷病、経済困難などの理由で月々の返済が難しくなった場合に、一定期間、月々の返済額を減額して返済する制度です。返済期間は延長されますが、月々の負担を減らすことができます。
- 返還期限猶予制度: 災害、傷病、失業、学校への在学、経済困難などの理由で返済が難しくなった場合に、一定期間、返済を中断(猶予)できる制度です。猶予期間中は返済額は発生しませんが、その期間に応じて返済期間が延長されます。
- 所得連動返還方式への変更(条件あり): 卒業後に所得連動返還方式の適用を受けていない方が、特定の条件を満たす場合に、返済方式を変更できる可能性があります。所得に応じた返済額となるため、低所得時には負担が軽減されます。
これらの制度を利用するためには申請が必要です。ご自身の状況に応じて、利用可能な制度や申請方法について、JASSOのホームページで詳細を確認したり、問い合わせたりしてみましょう。支援制度は、返済が困難になってからだけでなく、「困難になりそう」と感じた段階で相談・申請することも可能です。早めに情報を集めることが大切です。
ステップ5:返済をモチベーションに変える考え方
奨学金返済は、決してネガティブなものだけではありません。高等教育を受けるために必要な資金を借り入れ、自己投資を行った結果として生じるものです。返済は、その投資を回収し、自立した社会人として責任を果たしている証でもあります。
- 小さな目標を設定する: 例えば「今月は〇円節約して繰り上げ返済に回す」「半年後までに残高を〇円減らす」など、達成可能な小さな目標を設定し、クリアするたびに達成感を味わうことで、モチベーションを維持できます。
- 完済後のイメージを持つ: 返済が終わったら、毎月の返済額分を趣味や旅行、貯蓄や投資に回せるようになります。「完済したら何をしようか」と具体的に想像することで、返済期間中のモチベーションにつながります。
- 他人と比較しない: 奨学金の借り入れ状況や返済スピードは、個人の状況によって全く異なります。他人と比べて焦る必要はありません。ご自身のペースで、着実に返済を進めることに集中しましょう。
まとめ:一歩ずつ、確実に完済を目指しましょう
奨学金返済「終わらないかも…」という不安は、多くの人が一度は感じるものです。しかし、その不安は、返済状況を正確に把握し、具体的な対策を講じることで必ず和らげることができます。
まずはスカラネット・パーソナルで現状を知ることから始め、必要に応じて家計を見直したり、利用できる支援制度がないか確認したり、繰り上げ返済の効果を見てみたりしましょう。一度に全てを行う必要はありません。一つずつステップを踏んでいくことで、完済への道筋がより明確になり、前向きに返済と向き合えるようになるはずです。
もし、ご自身だけでの解決が難しいと感じる場合は、JASSOの相談窓口に問い合わせることも有効です。専門家のアドバイスを受けながら、ご自身にとって最適な返済計画を立てていきましょう。一歩ずつ着実に進むことが、奨学金完済への確実な道となります。