奨学金完済ガイド

奨学金を「目標年数」で完済するシミュレーション:具体的な計画の立て方

Tags: 奨学金返済, 繰り上げ返済, 返済計画, シミュレーション, 早期完済

奨学金返済に「目標年数」を設定する重要性

奨学金の返済は、多くの場合、借りた金額や返済方式によって決められた期間で自動的に進んでいきます。毎月の返済額は決まっているものの、返済期間が長く感じられたり、総額がどれくらいになるのか漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

こうした不安を解消し、前向きに返済に取り組むための一つの方法が、「いつまでに完済したいか」という具体的な目標年数を設定することです。目標を持つことで、現在の返済状況をより具体的に捉え、早期完済に向けた具体的な行動計画を立てやすくなります。

この記事では、奨学金を目標年数で完済するために、どのように計画を立て、必要な追加返済額をシミュレーションするのか、具体的な方法をご紹介します。

なぜ目標年数を設定すると良いのか?

目標年数を設定することには、いくつかのメリットがあります。

目標年数を設定する際の考え方

目標年数は、ご自身の現在の収入、支出、将来のライフプランなどを考慮して、無理のない範囲で設定することが大切です。

目標年数で完済するためのシミュレーション方法

目標年数を設定したら、次にその目標を達成するために必要な追加返済額をシミュレーションします。

1. 現在の返済状況を確認する

まずは、現在の奨学金の借入残高、適用金利、そして現在の月々の返済額と、このまま返済を続けた場合の完済予定年月を確認します。これらの情報は、日本学生支援機構(JASSO)のスカラネット・パーソナルで確認することができます。

2. 目標年数で完済するための必要月額を計算する

目標年数で完済するために、毎月いくら返済する必要があるのかを計算します。これは少し複雑な計算になりますが、JASSOのウェブサイトにある「奨学金返還シミュレーション」を利用すると便利です。

JASSO奨学金返還シミュレーションの活用

JASSOのウェブサイトには、現在の借入残高や金利、目標とする返還終了年月を入力することで、毎月または毎年の返還額を試算できるシミュレーションツールが提供されています。

  1. JASSOのウェブサイトにアクセスします。
  2. 「奨学金返還シミュレーション」のページを探します。(返還に関する情報ページ内にあります)
  3. 「毎月の返還額を試算する」や「返還終了年月から毎月の返還額を試算する」といった項目から、目標年数(返還終了年月)を設定できるシミュレーションを選びます。
  4. 現在の借入残高、適用金利などの必要情報を入力します。
  5. 目標とする返還終了年月を入力して試算します。

この試算結果で表示される「毎月の返還額」が、目標年数で完済するために必要な月々の返済額となります。

3. 追加返済額を把握する

シミュレーションで算出された目標達成のための月々返済額と、現在の月々返済額を比較します。

追加返済額 = 目標達成のための月々返済額 - 現在の月々返済額

この追加返済額が、目標年数で完済するために、毎月または計画的に繰り上げ返済などで上乗せする必要がある金額となります。

シミュレーション例

例として、借入残高が100万円、適用金利(固定)が0.5%、現在の月々返済額が10,000円で、このまま返済すると完済まで約10年かかる方がいるとします。この方が「5年で完済したい」と目標を設定した場合を考えます。

JASSOのシミュレーションツールなどで、借入残高100万円、金利0.5%で5年で完済するための月々返済額を試算すると、例えば約16,890円となったとします。

この場合、目標達成のために必要な追加返済額は、

16,890円(目標達成のための月額) - 10,000円(現在の月額) = 6,890円

となります。つまり、この方は毎月約6,890円を追加で返済する必要がある、あるいはまとめて繰り上げ返済を行う必要があると分かります。

追加返済額を捻出するための具体的な方法

シミュレーションによって必要な追加返済額が分かったら、その金額をどのように捻出するかを考えます。

計画実行と定期的な見直し

目標年数を設定し、具体的な計画を立てたら、まずは実行に移してみましょう。そして、一度立てた計画で満足せず、定期的に見直すことが重要です。

計画実行にあたっての注意点

早期完済を目指すことは素晴らしい目標ですが、無理な計画は禁物です。

まとめ

奨学金返済に具体的な「目標年数」を設定することは、返済をより計画的に、そして前向きに進めるための有効な手段です。現在の返済状況を把握し、JASSOのシミュレーションツールなどを活用して目標達成に必要な追加返済額を知ることから始めましょう。

そして、家計の見直しや繰り上げ返済などを活用して、具体的な計画を実行してください。ただし、無理はせず、ご自身の生活や将来設計とのバランスを大切にしながら進めることが重要です。計画は定期的に見直し、必要に応じて修正しながら、着実に完済を目指していきましょう。